私たちの思い~乳幼児期の“教育”について~
1.未来の子どもたちに求められているもの
今を生きる子どもたちの20年後は、どのような社会になっていると思いますか。
テクノロジー技術が進化し、従来あった仕事がAI(人工知能)やロボットに置き換わるかもしれません。
また、グローバル化が進展し、多種多様な人や異文化などを受け入れ対応していく力が必要になるでしょう。
その他にも、自然環境の悪化や少子高齢化などの問題を抱えており、今を生きる子どもたちは、予測が困難な社会を生きていかなければいけません。
こうした未知なる時代を生き抜くためには、テストの点数や偏差値の高さといった相対的な学力で秀でることよりも、「やってみようと意欲的に取り組む前向きな姿勢」や「諦めずにやり抜こうとする忍耐力」、「他者を受け入れ相互に対話して協力できる社会性」といった、非認知能力や社会情動的スキルが必要であると言われています。
2.現代が目指す乳幼児期の教育
2023年3月に開催された文部科学省の中央審議会にて「次期振興基本計画」のコンセプトとして「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」が挙げられました。
そして、同年4月に成立した「こども基本法」は「すべての子どもが将来にわたって幸福な生活を送ることのできる社会の実現を目指し、子ども政策を総合的に推進する」ことを目的として施行されました。
また、子ども家庭庁は、「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン(仮称)」の中で、「乳幼児期は、子どもの将来にわたるwell-being(ウェルビーイング)の基礎を培い、人生の確かなスタートを切るための最も重要な時期」と示しています。
現代の教育は、「子ども一人ひとりが自分の人生を生き、幸せに生きる」ことを目指しています。そして、その一人ひとりの幸せによって、社会や経済が回っていく社会を創ろうとしています。
このヴィジョンでは、「Well-being(ウェルビーイング)を実現するためには、子どもの発達の鍵となる“安心”(安心の土台・安全な居場所)」を基盤として、“挑戦”(遊びを通して外の世界に向かう)し、これを循環させ、心身の発達を図ることで、生涯に渡る人格形成の基礎を培うことが重要である」としています。
乳幼児期の育ちにおける“挑戦”は、乳幼児期の生活の大半を占める「あそび」であり、「あそびを通した総合的な指導」によって非認知能力を育み、未来の生きる力が養われていくと考えられています。
3.私たちが目指す保育・教育について
笑顔(ちから)を未来に紡ぐ~ には、その子らしさを積み重ね“生きる力”を持った“自分”を創っていくという意味が込められています。
この保育理念を実現するためには、乳児期に「心の土台」をつくっていくことが大切だと考えます。
「心の土台」をつくるうえで重要な要素は、自分は価値ある存在だと自己を認め大切にしようとする自己肯定感です。
この自己肯定感は、特定の大人に十分に自分を受け止めてもらうことで育まれる基本的信頼感をベースに獲得していきます。
そして、この自己肯定感の上に、非認知能力といわれる生きる力の基礎が積み上がっていきます。
これらを踏まえ・・・、子ども達には、人肌から伝わる温かなぬくもりや優しいまなざしによって、安心感をもって過ごしてもらいたい。
また、その子らしさを尊重し、遊び(学び)の姿から子どもを理解した関わりと、明日のワクワクにつながるような環境づくりを大切に、丁寧に一人ひとりの育ちを支えていきたいと思っています。
このような思いの中で子ども達は、安定した心の根っこをしっかりと張り、「おもしろい」「楽しい」「やってみたい」という自らの意志や主体性を持ち、興味関心を持ったことに取り組んでいきます。その中で様々なことを体験し、考え、試行錯誤し、誰かと協働しながら“学び”を重ねていきます。この豊かな学びは、誰かに指示されたり教えられたりするのではなく、自ら生き生きと遊び、暮らしのなかでたくさん心を動かすことで培われます。
子どもは、自らを成長させる力を持っています。自ら育とうとする力を信じ、保育という営みによって支え続けること、また、この豊かな学びを丁寧に重ねていくことが「生きる力を持った自分」創りに繋がっていきます。
ルアナで培った主体性は、必ず未来の笑顔(ちから)として紡がれます。「自分の人生の主人公は私」、「自分の幸せは私が決める」という、生きていく上での主体性となることを願っています。