土呂のブログ
- 心の蕾
「鬼」と聞けば怖いもの・・・節分は子ども達にとって「本物の鬼がくるのではないか?」という心配が先にたってしまうものです。
しかし、節分は、寒い冬から暖かい春に変わる季節の節目となる日。
そして、豆を投げて、鬼退治をして、邪気を払う行事。
その後は、福の神が暖かな春を届けてくれる・・・今年もそんな季節がやってきました。
そこで、まずは「春」がやってくる前の「冬」を感じられるように、雪だるまを作りながら、遊ぶことをしました。


そして、歌や絵本を通して色々な鬼の存在を感じたり、様々な鬼とその意味に出会いながら、毎日、鬼の仲間が園内に増えていくことを経験しました。


子ども達は、そんな環境の中で様々な鬼に出会い、その表情をみながら、「この鬼はこわいけど、こっちの鬼は笑ってるね」、「真似っこしてみようかな?」、「でもやっぱり怖いかも」とその存在に心を揺らしながら過ごしていました。

鬼に対して様々な思いがあふれてきたある日。
「鬼が怖いから保育園に行きたくない」と話してくれた子がいました。
そんな声に、「なぜ、この子はそんな気持ちになったのか?」を考え、行事を通して学んでほしいことはどんなことなのかを職員で再確認しました。
そして、子ども達が鬼を怖がることなく節分という行事を、楽しさの中で学ぶには???と・・・今の子ども達の育ちから考えを巡らせました。
この時期の子ども達は、同じクラスの友達を仲間として意識し始め、かかわりが増えていきます。
そして、Haku(5歳児クラス)やAlo(4歳児クラス)の年頃になると、より友達を意識し、けんかをしてみたり、自分や相手の気持ちを考えたりすることが増えていきます。
そんな子ども達の育ちを踏まえ、ルアナに遊びにきた鬼を、「友達」として向き合うことから始めてみることにしました。
それ以来、絵本の世界から飛び出した鬼と「あっぷぷ~」とにらめっこをしてみたり、自分も鬼になってみたり、鬼とおやつを食べてみたり、お部屋の鬼と豆まきをしたりとの鬼との毎日を楽しみ始めました。



鬼と友達になった数日後、AloやHakuの子ども達は、福の神から届いた手紙で「鬼が苦手だから鬼がいなくなってほしい」という福の神の願いを知りました。
「福の神は鬼が苦手なんだ・・・」そんな気持ちに心を寄せる子ども達。
絵本を読んだり、たくさん考えたり、話し合いを重ねました。

そこで、Aloの子ども達は、園内の鬼と遊びながら鬼の表情を観察。
「友達」と「福の神が苦手な鬼」を豆まきをしながら、子ども達なりに見極めていきました。
また、福の神が春を届けられるようにと、柊鰯(ひいらぎいわし)を準備することにしました。


その一方で、Hakuの子ども達は、「まゆとおに」という絵本から「鬼と友達になる方法はおにぎりをつくって鬼に食べてもらうこと」を考えました。

そして、行事図鑑から節分には恵方巻という食べ物があり、「鬼と仲良くなる為に福の神にはおにぎりの具と同じものを使った恵方巻を食べてもらうこと」を思いつきました。
節分当日、子ども達は、鬼と一緒に豆まきをしてあそびました。


福の神に思いを寄せていたAloは、柊鰯を飾り、福の神に手紙を書いて「大丈夫だよ」と語りかけました。



また、Hakuは鬼と友達になる為におにぎりを、福の神の苦手を好きに変えてもらう為の恵方巻を、自らご飯を炊き、おにぎりと恵方巻を作り玄関に置きました。



ルアナの鬼は子ども達とたくさんあそびました。



そして、Hakuの作ったおにぎり食べ、福の神は恵方巻を食べ、Aloからの手紙を読み、ルアナの子ども達にこれから始まる春の始まりを届けにきてくれました。



この日の豆まきの掛け声は「鬼はそと。福は内。鬼はうち」これも絵本の世界から学んだ言葉。
子ども達はその言葉に鬼への気持ちをのせて遊びに生かしていました。
そして、豆まきのあと、「鬼と友達になったんだ」と壁にいた鬼を手の平に貼り嬉しそうに過ごしていました。

昼寝から目覚めるといつのまにか鬼はいなくなり、玄関には「楽しかったね」と笑顔の鬼からのメッセージがありました。

節分の始まりに「鬼が怖いから・・・」と話してくれた子・・・。
節分を終えると「緑の鬼と友達になったんだ。鬼は4人いたね。みんな笑っていたね。」と笑顔で話してくれ、この子の心にも春のような温かさを届けてくれたように思いました。
鬼と福の神の存在から誰かに向ける心を学んだこの行事。
福の神が届けてくれた春の蕾が、花咲く日を待つように、この行事での経験が、子ども達の心の蕾を少しずつ温め、育ち、ふんわりと膨らんでいつか花を咲かせ、誰かの心を温める日を心待ちにしたいと思います。





