土呂のブログ

2025.10.15
食べたいが育つ

ようやく秋の風が心地よくなった頃、ルアナ保育園の玄関にも秋の気配を感じるお花や月の装飾が現れました。

この月は、今年も十五夜に向けて少しずつ満ちていき、月の満ち欠けを子ども達に告げてくれていました。

そんな月を見ながら、「今日は上弦の月だよ」「今日はお月様見えるかな?」と毎日のように親子の会話が聞かれるようになりました。

お月見は秋の満月をみながら、農作物の収穫や、秋の豊作や自然の恵みに感謝する日。

今年はお月見という行事を通して、身近な食材から「感覚」と「食」に対する学びを深めていきました。

まずは、「くだものれっしゃ」の歌や園内に飾られた写真を用い「秋」や「季節の食べ物」についてその名前や季節を学んでいきました。

また、新米の季節となった9月下旬。

白米に触れてみることをました。

白米に触れながら子ども達に「これ何かな?」と問いかけると「ごはんだよ」と答える子ども達。

しかし、白米がご飯になることに少々疑問を持つ子もいました。

そこで動画から、白米がごはんになるまでを見たり

実際に給食室に行き炊き立てのご飯を見せてもらったりその香りを感じたりしました。

そのごはんを給食前に自らおにぎりにしてみることにしまいた。

白米とは違う手触りと温かさ。

そして、なんともいえない香りに誘われて、出来上がったおにぎりを口にほおばると思わず「甘い!」と目を丸くして、「ごはんの味」を感じたようです。

また、お月見に必要なお団子作りを前に小麦粉粘土を使って遊んだ日もありました。

そして、粉から水を加えて変化していく感触を感じるこの遊びは各クラスが毎日遊び続けました。

玄関のお月様が満月を迎えるお月見当日。

その日の朝、各クラスにはお月見用の三方が置かれていました。

「今日はお月様はまん丸だね」と話しながらLiko(0歳児クラス)、Ulu(1歳児クラス)、Kai(2歳児クラス)、Hoi(3歳児クラス)は小麦粉粘土の遊びを繰り返し、この三方にクラスごとにお供えをして玄関の月にお供えしながら、「おいしいご飯をありがとう」とお月様に話していました。

また、行事を通じて食への興味が深まったAlo(4歳児クラス)とHaku(5歳児クラス)の子ども達は、だんご粉を使った団子作りを経験しました。

その団子は一人一人が自分でゆで、クラスのお供えとして完成させ、「お月様と神様にお供えするんだ」と話しながらお供えしていました。

お月見が終わり、少しずつ姿を消していった玄関の三方の中の団子を眺め、「あれ?お団子がない」とつぶやく子がいました。

その声に「お月様がたべちゃったのかもね・・」と話すおうち方。

「お月様美味しかったかな?」

「きっと美味しかったからなくなったのかもね」・・・そんな会話が聞こえてきました。

今回のお月見を通じて、子ども達は秋の味覚やお米、ごはん・小麦粉・だんご粉等、目、鼻、口、耳、手と五感をフルに使いながら食に向き合いました。

そして、この経験を通して、子ども達は積極的に「食」にかかわることをしていました。

この学びの中で食に対する主体性が育まれていったように思います。

このような、五感を使った楽しい食体験は「美味しかった」という記憶として生涯残り続けます。

そして、食にまつわる豊かなあそびの経験があることで、口にすることはなくても五感を通じて「美味しい」を学ぶことができます。

このような遊びを通して、食に対する豊かな経験をすることで、食べることを楽しむようになり、子ども自身は「食」への主体性を育んでいきます。