土呂のブログ

2025.05.12
心に沁みる

4月の半ば・・・・もうすぐやってくる「子どもの日」にむけて園の中が少しずつ動き始めました。

まずは園庭・・・春の風に泳ぐこいのぼりをイメージできるように、スズランテープの吹き流しを飾りました。

そよ風が吹くたびに揺れるその様に、こいのぼりの歌を歌いながらその風を感じる遊びを楽しみました。

また、リズムあそびではこいのぼりの歌に合わせて自分の思うこいのぼりになってみたり、


「鯉の滝登りごっこ」として巧技台で遊んでみたり、


こいのぼりごっこをしたりして遊びました。


毎日のようにこいのぼりの歌を歌いながら、玄関に飾られた飾りを眺め、子どもに日にむけてその気持ちを高めてきたルナアの子ども達。

そこで、今度は本物のこいのぼりに出会う為に本物のこいのぼりに会いに行くことになりました。

沢山のこいのぼりに出会いその大きさに「わ~~大きい」「あっちはお父さんかな?」「あれは動いてないね」とそれぞれがこいのぼりを眺めながらその思いをつぶやいていました。

そして、沢山のこいのぼりを眺めていると自然に「やねよりたかいこいのぼり~~~」と口ずさんでいました。

その後、偶然こいのぼりが風に揺られて動き出すと、「わ~~~こいのぼり、起きたね。」「あれは一緒に歌ってるのかな?」と想像力を豊かに、それを表現していました。

本物を目の当たりにした子ども達・・・帰り道に出会う草花の様や花のアーチですらこいのぼりに見えたようでした。


そして、子どもの日の数日前、Haku組(5歳児クラス)は子どもの日の菖蒲湯に使う菖蒲を買いに行きました。

毎日の遊びの中で知った子どもに日に必要な物・・・菖蒲の他にも柏餅があることを学んでいました。

そして、こいのぼりとの出逢いから学んだ「本物に出会うこと」を実感していたHakuの子ども達。

「小さい友達にも見せてあげたい」という思いを相談され、柏餅も購入し、園の玄関に「子どもの日コーナー」を完成させました。


そして当日・・・Haku組の菖蒲湯つくりから始まりました。

沢山の菖蒲をハサミで切り続けると玄関中が菖蒲の香りで包まれました。

そしてお湯を運び菖蒲湯が完成しました。


自分の手や足を入れて待つこと、しばし・・・「あ~~!元気になった!」とその手足を動かし菖蒲湯に入ったことの意味を表現してくれました。


その喜びを年下の子ども達に伝え、菖蒲湯の入り方を教えてあげながらその意味を伝えていました。


菖蒲湯を目の当たりにして「なんだろう?」と不思議に思う子、「こわい」とつぶやく子、「やらない」と先生の陰に隠れる子、好奇心を発揮して触れてみる子と興味の湧き方はそれぞれでした。


しかし、保育者がその気持ちに沿いながら、触れ、遊ぶことで安心し、茎をつぶすと泡状の葉腋が出てくること、そこから菖蒲の香りを感じることができること、葉を剥くとパリパリと音がしてまた香が立つことを実際に見ると、ゆっくりとその遊びに夢中になりはじめました。

そして、遊びながら何度も「元気に大きくなりますように・・」「元気になったね」と伝えることでまた子ども達は「子どもの日」を実感していました。

また、Ulu組(1歳児クラス)のこの子は、朝からずっと大切に行事図鑑の「こどもの日」を眺めていました。

そして、菖蒲湯に入る時もこの図鑑を持参して玄関にやってきました。

Haku組が買ってきた柏餅をその図鑑と見比べては「これ」と本物を手にとりながら「おんなじなんだ」と身振りやしぐさでそれを話してくれました。


この日は、夕方になっても菖蒲湯が玄関にあり、子ども達はお迎えに来たおうちの方にも「元気になるから菖蒲湯にはいって!」と勧め、親子で遊ぶ時間もありました。

約半月に渡ったルアナのこどもの日。

子どもの日を通じて、こいのぼり・兜・菖蒲湯・柏餅・・・そんな言葉を知りました。

そしてその言葉を知ることで、それぞれの本物に出会いました。

本物との出逢いは、子ども達に感じる心を与えてくれました。

その感じる心は五感を通じて想像することや考える時間も与えてくれました。

やがて、それぞれが感じたことや考えたことはそれを誰かに伝えたいという思いになったり、夢中になる遊びとなり、一人ひとりの主体的な学びの時間となっていきました。


毎日の遊びの中で「本物」と「遊び」が響きあいながら、一人一人の主体的な遊びを通じて子ども達の心の中にじわ~っと広がりはじめたこどもの日。

そして菖蒲湯の香りや感触、そして温かさを身体で感じたルアナのこどもの日を体験した今日、子ども達の心の中にまた一つの経験としてこの行事が心に刻まれたようです。

感じて考えて行動した主体的なあそびの体験は、その子の心に留まり、その子の原風景となり生涯の「経験」となり刻まれていきます。


感じて考えて、じっくりと時間をかけながら、ひとり一人の心の中にじわっ~と沁みていくような経験・・・そんな時間を大切に過ごすことが主体性の育みにはとても大切なことだと思います。